ふっくらと艶めくお米は、日本人の心のよりどころ。
「宿で食べたお米がなんだか美味しい!」
お泊まりのお客様にそう感じていただきたくて、辰巳館では特別な米を使っています。もしかしたら1万円台の宿で出す米としたら、いいものを使いすぎ……かもしれません(笑)。でも、そこは譲れないこだわり。本物のお米の味を、ぜひ味わってみてくださいね。
お米のコンクールでグランドスラムを達成
田んぼにはおたまじゃくしやカエルが遊び、トンボや蝶々がひらひらと舞い遊ぶ――。
本多さんの田んぼは、同じみなかみ町ではありますが、びっくりするほどのどかな場所にあります。そう、山下清さんのタイル画に描かれているような――。
本多義光さんは、よく焼けた肌に、白い歯、そして笑顔がやさしい65才。米の耕作地として無名のみなかみ町で平成27年、米の主要コンクールに入賞し、6冠の完全制覇(グランドスラム)という快挙を達成しました。これは日本初、グランドスラムを達成したのはまだ本多さんだけです。
辰巳館では以前は、米どころ、新潟のコシヒカリを使っていましたが、「地元のお米にこだわりたい」と、月夜野の農機具屋さんから本多さんを紹介してもらいました。そのお人柄と美味しい米作りを追求する姿勢に惚れこみ、お付き合いして10年以上が経ちます。
子どもと同じで、甘やかさない
山一つ越えたら、日本一の米どころ、魚沼。
みなかみ町は、利根川の源流域にあり、昼夜の寒暖差にも恵まれ、美味しいお米がとれる条件が揃っています。
美味しい米作りに欠かせないのが美味しい水。辰巳館にある山下清の壁画にも描かれている、大峰山水系の大峰山を水源とする水が使われています。
本多さんの米作りの姿勢は、“米も子どもと一緒で甘やかさない”ということ。
分けつ(稲が株わかれをして本数が増えること)が終わって水を抜いた後は一切、肥やしは与えません。一方で土作りにはかなりの労力をかけます。土に籾殻燻炭(もみがらくんたん)を漉き込むことで、炭にあいた無数の穴に住む微生物が稲の根っこを丈夫にし、病気になりにくい稲になります。お米は減農薬・減化学肥料。除草剤は田植え以降1回で、特別栽培米と同じ作り方だそうです。
冷めたときに美味しいお米です
お米の美味しさを図る指標のひとつが、「食味値」。
「水分」、「タンパク質」、「アミロース」の3つの要素を測定すると、その米の食味値がわかります。本多さんによると、美味しいお米のタンパク質は7%以下が目安とされるなか、本多さんの米は5%を切るか切らないか程度なのだといいます。
仕事場には、このあたりの農家では珍しく、食味計や整粒計、味度メーターなど、最新鋭の機器がズラリと並んでいました。
経験則のみならず、科学的な理論をも融合して米作りを追求するその研究熱心な姿に頭が下がります。
冷めたときが、お米の味の評価の分かれ道。尾瀬や一の倉沢ハイキングにおにぎり(要予約)を持っていったら違いは一目瞭然です!
夏の竹トンボづくりでも活躍
さらに、こんなことにもご協力いただいています。
辰巳館では、夏休みにお子様向けの「竹トンボ教室」を開催していますが、なんと、竹トンボづくりの先生が、本多義光さんなんです。
もう10年以上も竹トンボ教室や、お正月のお餅つきなど、毎年、講師として来ていただいていますが、温かなお人柄の本多さんだからこそ、「参加してよかった」と多くのお客様から感謝のお言葉をいただきます。失われつつある田舎の遊びを通して、子供たちに日本の良さを伝えていきたい。そんなイベントをこれからも企画していきます。