辰巳館のファンがインタビュアーとなりスタッフの声をお届けするこの企画。
一人ひとりの温かい心遣いや笑顔が印象的な辰巳館では、どのような方々が働いているのでしょうか。
第1回目は、辰巳館の女将である深津 香代子さんにお話を伺いました!
| 女将 深津 香代子
群馬県生まれ。結婚・出産を機に100年の歴史を持つ群馬県みなかみ町の温泉旅館「辰巳館」の女将に。
子育てと女将業に奮闘しながら、ふんわりした人柄で宿を訪れるお客様を日々癒しています。
好きな辰巳館の料理は「焼きおにぎり」。
家族のような気持ちでお迎え。
“フッ”と力を抜いて、おくつろぎいただきたい
− 女将として、普段どのようなシーンでお客様と接されていらっしゃいますか。
女将:今は、お客様のお出迎え・お見送り、お食事の時にお客様と接することが多いです。
ご来館いただいたお客様には実家に帰った時のように、
肩の力を抜き“フッ”と素に戻っていただけたらと、
いつも家族を迎えるような気持ちを心がけています。
ゆったりと心からくつろいでいただけると嬉しいです。
− 東京で勤められていたお仕事とは一転、辰巳館の女将になられたと伺いました。
女将:はい、 当初は小さい子どもを育てながら仕事も覚えて…と、とにかく必死で。
どうしたらお客様に喜んでいただけるのかと無我夢中でした。記憶がないくらい(笑)。
今ではご来館いただくお客様へ感謝の気持ちでいっぱいです。
− これまでたくさんのお客様との出会いがあったかと思うのですが、心に残るエピソードはありますか?
女将:就職活動中の女性がおひとりでいらしたことがあったんです。
私の娘と同じくらいの年齢だったので、ずいぶんとお話もさせてもらいました。
館内でお貸ししている浴衣の着付けをして…。
その時のことをずっと覚えてくださっていて、数年後にまた大切な方を連れて来ていただいたんです。
それもご主人、そしてお腹に赤ちゃんを連れて! 「今度は、赤ちゃんと一緒に来ます」なんて言ってくださって…。
− それは嬉しいですね…!
女将:はい。そうやってお迎えをさせていただいている私たちの方も、お客様から喜びをいただくことも多くて。
− 仰っていた「家族ように」という形の一つですね。
スタッフの間で「大切にしていこう」と共有しているものはあるのでしょうか?
女将:辰巳館には「温泉」、「人」、「炭火」、3つの「温」でお客様をお迎えしたい、というものがあります。
温泉や囲炉裏端の炭火で召し上がっていただくお食事はもちろんですが、
人のぬくもりを感じてもらうためには笑顔と会話が大切だとスタッフにも伝えています。
スタッフそれぞれが心からのおもてなしをすることで、
お客様から応援してもらえることがあります。
たとえば新入社員として若い子が入ってくると、お客様は自分の孫を見るような気持ちで接してくれるんです。お客様が新入社員を育ててくれるんですね。
「がんばって」という言葉をかけてもらえるので、新入社員の励みにもなっていてます。
− スタッフの皆様からも話しやすい空気づくりやそのための工夫、
辰巳館ならではの温かい心遣いが伝わってきます。
女将:スタッフの間でもっとお客様のために「こうしてみたい」ということを話し合うこともあります。
実際に挑戦してみてから「やっぱり、こうしたほうがいいね」ということもありますし。
あとは、お客様との会話のなかで、「今日は妻の誕生日です」なんて教えてくださるお客様もいらっしゃって。
そういう時はすぐにみんなで共有し合って、お声がけさせていただくこともできます。ささやかなことですが…。
− そういったお気持ちを思いがけずいただいたら嬉しいですよね。会話の中から温もりが生まれるのですね。
女将:当館には社員旅行から4世代のご家族、若い方はまで様々なお客様がいらっしゃいますので、
ご来館いただいている間はとにかく心からくつろいでいただけたらと思っています。
− 女将にとって辰巳館は、どのような場所でありたいと思っていますか?
女将:これからも、家族のようなぬくもりを大切にしていきたいです。
温泉で体が温まり、人の温もりで心まで温まる。お客様にとって、家に帰れるような場所でありたいと思っています。
− ありがとうございました!